[旅の日記]
ナイヤガラ Niagara 
シカゴからカナダのトロントに入ったのは、夕方の4時。
飛行機を降りて入国カードがなかったので内心ホッとしていたのですが、それが逆手に出ました。
まずは入国審査で色々と聞かれるのです。
こっちが英語が苦手なことは、相手には関係のないことなんでしょうけど、どう見ても私の並んだ係員は、他に較べて真面目過ぎるのじゃないと思うように、他が2人処理する間に1人といったペースです。
ここを何とか切り抜けたかと思うと、今度は多くの人が荷物の受け取りに行くところを、その先の再審査の窓口に並ばされました。
今回がカナダの初入国だったせいなんか、もしくはブラット一人で来たせいなのか、カナダでの行動予定や航空券をこと細かく調べられました。
そんなことで、本日もダウンタウンのホテルに辿り着いた時には、19:30になっていました。
今晩は分厚いステークをと、レストランを探したのでした。
さて翌日は、今回の旅の目玉でもあるナイアガラへ行くことにします。
8:15のバスに間に合うように、7:00には朝食に入り7:30には勇んでホテルを出たのでした。
バスターボにつくと、あらかじめ決めていた8:15のバスの乗車券を購入し、言われるとおり1番のパス停に並んだのです。
ところがここで大きな誤算が。
バスを並ぶ列の半分も乗り込まないうちにバスは満員に。
そのままバスは走り去ってしまいました。
そうなんだ、私の乗ろうとしたバスはニューヨーク行き。それに今日は夏休み最後の日曜日。新学年が始まる前の帰省の混雑だったのです。
10分ほど待ったときでしょうか、臨時増発のバスが来た途端、入り口には人が群がり、収集の着かない状態に陥ってしまいました。
そしてやっと来た私の番。
ところがこのバスはカナダには止まらないということで、あえなく退散となりました。
購入したバス会社の次のバスは2時間後なのです。
チケットカウンターに相談すれば、2ドルの差で別のバス会社のバスが1時間後にあると教えてもらい、それに変えてもらうことにしました。
そしてこれには無事乗り込むことができたのでした。
やっとの思い出辿り着いたナイアガラ・フォールズ駅は、滝からは1~2km離れたところです。
バス停では40分ほどかかると言われたのですが、地図では1km程度。
これなら行けると思い、ナイアガラ川を眺めながら歩き始めたのですが、これが結構遠いのです。
係員の言ったことはさすがに正しかったと、反省させられました。
まず目に入ったのが、アメリカとカナダを結ぶナイアガラ川にかかるレインボーブリッジです。
ここはあとで渡るとして、まずは滝の間近まで船で行くことのできる「霧の乙女号」に乗り込むことにしました。
霧の乙女号では、乗る前にポンチョを渡されました。
前情報で濡れることを覚悟しなければならないとの前情報で、ガイドブックなどはディバッグに中にさらにビニールに包んで準備してきました。
やがて船が出港し、最初には2つある滝の1つであるアメリカ滝に向かいます。
カナダ滝に較べるとちょっと小ぶりで、滝の下にはゴツゴツした岩が並んでいます。
船の観客は、皆カメラにこの様子を収めています。
ところが滝に近づいた途端、まるで台風の時に無謀にも外に立っているような、横なぐりの風とそれに混ざった雨が容赦なく吹き寄せてきました。
あわててカメラを隠し、ポンチョの首筋から水が入らないように、頭のかぶりが風でぬげないようにポンチョの顔の部分の紐を引き締めます。
水しぶきがかかるたびに「ウォー」という、叫びが聞こえてきます。
アメリカ滝を船が通り過ぎるまでの数分間、この状態が続きました。
静寂が訪れたのもつかの間、今度は先ほどよりもはるかに大きなカナダ滝へ突入です。
カナダ滝は円弧の形をしており、その中央は滝のたたきつけた水が霧となり、高くまで曇ったようになっています。
今度は先ほどよりもはるかに長い時間、台風状態が続きました。
ポンチョを着ているにも関わらず、ズボンはボトボト。
ここが夏に来て正解ですね。
30分間のエキサイティングな船旅でした。
遅めの昼食にありつき、上から滝を見るために、スカイロン・タワーに昇ります。
地上160mの展望台からは、滝全体を見渡すことができるのです。
ここから見ると、エリー湖から流れてくる滝の様子がはっきりと見えます。
湖といっても、シカゴのミシガン湖、トロントにもありこのナイアガラ川が流れ込んでいるオンタリア湖、そしてこのエリー湖のどれを取っても対岸が見えず、海のようなものなのです。
スカイロン・タワーも混んでいるのかと思いきや、ここはガラガラの状態でした。
上から滝をみたのであれば、今度は真横から見ようと、テーブル・ロックへ向かいます。
ところが滝に差し掛かると、またしても水滴混じりの横風が。
程度はというと、台風までもいかなくとも傘を持つのがやっとといった春一番に霧雨が合わさったようなものです。
やっと乾いたズボンが、またも上から下まで濡れたのでした。
滝の真横では、水が跳ねるように流れ落ちていく様子が見えます。
さらには少し上流に行くと、今度は円弧の形をした滝が、まるで穴に水が吸い込まれていくかのように見て取れます。
色々な角度からこの偉大なナイアガラの滝を見ることができました。
歩きつかれたのと帰りにまた濡れることへの抵抗から、この辺一体を乗り降り自由で走っているピープル・ムーバというバスの乗車券を買うことにしました。
そうとなればバスの行くところはどこへでも行けと、さらに先のグリーン・ハウスまで乗っていきました。
ここは温室に珍しい植物と鳥があるということなのですが、私には特に目新しいものはなかったです。
再びバスを折り返して、先ほど通り過ぎたレインボーブリッジに向かいます。
ここは対岸のアメリカをカナダを結ぶ橋で、橋の根元にそれぞれの国の税関があります。
片側二車線の道路ですが、もちろん歩道もあり人が渡って国境越えを行えます。
50セントの通行券を払って、私も徒歩での国境越えを体験することにします。
帰りの再入国の際には簡単な質問をされますが、昨日の初めてのカナダ入国の時に較べると楽なものでした。
今度は再びピープル・ムーバでナイアガラ・フォールズ駅近くのホワイト・ウォータ・ワォークへ急ぎます。
17:00までの入場なのに、すでに時刻は16:40となっていたからです。
しかし難なく入ることができたのは、商魂逞しい日本と通じるものがあります。
ヨーロッパならば時間前でも閉められていたことでしょうに。
渓谷の上から古めかしいエレベータでナイアガラ川の水面まで降ります。
水面といっても川原に降りれるのではなく、木製の遊歩道が組まれているのです。
川の流れは荒々しく、1mもある白波が消えてはできる、すごい流れです。
足を滑らせればまず生きて帰れることはないのでしょう。
次の帰りのバスの時間まで、しばらくは生きている川の流れに見とれていました。
帰りのバスは、ニューヨーク発の便だったので、朝の苦い経験が脳裏をかすめたのですが、何の問題もなく乗ることができました。
バスに乗るなり爆睡したのは、お判りになっていただけるでしょうか。
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