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[旅の日記]

カウアイ島 Kauai 

 まだ陽の昇る前にオアフ島のホテルを出発し、飛行機でやって来たのはカウアイ島のリフエ空港です。
カウアイ島はハワイ諸島の最北端に位置し、火山活動で出現したハワイ諸島の中でも最も古くから存在した島とされています。
そんな神秘の島を、本日は巡ります。

 空港からはバスに乗り込みます。
韓国出身のおあばちゃんガイドと、白髪で小柄なおばあちゃん運転手です。
ブーツを履いたがに股のおばあちゃん運転手は、腰が曲がりより小柄に見えます。
よっこらしょと運転席に座る様を見ると、これで大きなバスのハンドルを操作できるのかと心配になります。
しかし一旦バスが発車すると、おばあちゃんの独断場と化します。
曲がった道もなんのその、スピードを上げて滑走するのです。

 バスは「ツリートンネル」の中を走ります。
ここでいう「ツリートンネル」とは、樹齢100年を超えるユーカリの並木道です。
道の両側に植えられたユーカリが、道の天井までを模っているのです。
そしてその長さは約2km続きます。
ただし一般道を全速力で走るおばあちゃん運転手にとって、「ツリートンネル」は一瞬の出来事だったのです。

 やがて辿り着いたのが、ポイプ・ビーチ・パークにある「潮吹き穴」です。
溶岩が流れ込んだ海岸に、波が打ち寄せます。
波は岩の間に入り込み、何事もなかったかのように思われます。
と次の瞬間、轟音とともに岩の割れ間から天高く海水が吹き上げるのです。
その高さは20mにも達するのです。
しばらくは海の波と「潮吹き穴」を眺めています。
すると、水面に波とは違うゆっくり動くものが見えます。
なんとウミガメが泳いでいるのです。
水面すれすれに甲羅が見える以外は、水面にあげた顔だけが目印です。
気持ちよさそうに波の間を泳いでいます。
どれだけ見ていても飽きの来ない風景ですが、ついにバスが出発すると呼ばれてしまいました。

 

 次に訪れたのは、壮大な岩場が続くワイメア渓谷です。
ワイアレアレ山とカワイキニ山からなる山岳地帯で、渓谷の距離は22km、幅は2kmにも及びます。
太平洋のグランドキャニオンと呼ばれ、谷の深さは1kmもあります。
ワイアレアレ山から流れる川が、赤土の大地を削り取った結果できあがったものです。
まずはハナペペ渓谷展望台から渓谷を眺めます。
そこでは迫力のある絶景が目の前に広がるのです。

 一通り見終えると、再びバスは走り出します。
ハナペペの市街地を抜けしばらく進むと、山道に差し掛かります。
舗装されたところですが、道は曲がりくねりバスは急な上りを音を上げて進んでいきます。
おばあちゃん運転手はというと、ハンドルにしがみつき左右に曲がる道に従って体をよじりながら車を進めています。
細い腕と思っていたのですが、意外と力はあるようです。
というより、力尽きないことを祈るだけです。

 着いたのはワイメア渓谷を眺めるもうひとつの展望台「ワイメア・キャニオン展望台」です。
「WAIMEA CANYON OUTLOOK 3400FT.」の看板が物語るように、かなりの高さまで上ってきました。
渓谷が目の前に広がり、展望台の前は谷底まで続く崖です。
落ちると助からないような急こう配の坂に、動くものを見つけることができます。
肉眼では見えないので、カメラの倍率をあげて映った画像を液晶で確認します。
確かに生き物のようで、どうやら崖に生息するヤギのようです。
面白いものに出くわし、感動するのでした。

 この後寄ったのが「カウアイ・コーヒー」です。
たくさんの品種のコーヒーが飲み放題なのです。
小さな紙コップをもらい、自分の好きな銘柄のコーヒーを次々と試飲します。
外に出るとコーヒーの木には、まだ青いコーヒーの実が実っています。
これもやがて美味しいコーヒーになっていくことでしょう。

 さてここで昼食のために、食事会場となるホテルにバスは向かいます。
ヌコリイー・ピーチ・パークにあるホテルで、アクア・カウアイ・ビーチ・リゾートです。
開放的なロビーを入ると、食事が待っています。
マグロなど海のものがぶつ切りになった「ポケ」があります。
そして、葉っぱでくるまれたこれは何?
ハワイアンフードのひとつの「ラウラウ」と呼ばれるもので、豚肉をタロイモの葉で包んだものを蒸したものです。
とても美味しくいただけたのです。
食後はホテルの庭園を通って、海岸へ一直線です。
どこから流れてきたのか、丸々1本の木が海岸に打ち上げられています。
誰がいるわけでもなく、真っ白な砂浜に波の音だけが響く至福のひと時だったのです。

 しばらく休憩した後は、カウアイ島で1番行きたかった場所に向かいます。
ワイルア川の河口からボートに乗り込み、「シダの洞窟」に向かいます。
約100人が一挙に乗れるボートの中では、ギター演奏と唄、フラダンスのハワイアンショーが繰り広げられます。
途中でカヌーの一団に出くわしますが、彼らを追い越し船は進みます。
ショーが終わりほどなくすると、ボートは目的地に到着します。
ここから熱帯の木々を眺めながら、目指す洞窟に歩いて行きます。

 その奥に「シダの洞窟」はあります。
ワイルア川州立公園に位置するこの地域は、ハワイの文化発祥の地と考えられています。
溶岩で作られた自然の洞窟で、かつてはハワイの王族のみ訪れることが許された神秘的な場所です。
ここで王族の結婚式が挙げられていたということで、縁結びに利益があるとも言われています。
洞窟はボストン・シダでおおわれ、岩の間から染み出た水がポタポタ落ちてきます。
そして水の落ちる先には、真っ赤な花をつけたジンジャーが咲き誇っています。
その赤色の眩しいこと。しっかりと目に焼き付けておきましょう。

 帰りはボートで同じ川を下ります。
さすがにフラダンスの公演はなく、劇団も我々とともに船に乗って帰るのでした。

   

 最後に立ち寄ったのが「ワイルア滝」です。
密林の中のポッカリとくり抜かれた空間に、ワイルア川の水を湛えた滝があります。
60mの落差を2本の滝から水が並んで落ちてきます。
滝つぼに飛び降りることで男らしさを示したともいわれる場所です。
さきほどボートで巡ってきたワイルア川も見えています。
ちょうど次に出港したボートがやってきます。

 周りを見渡すと、例にももれず野生の鶏が走り回っています。
そして3cmほどの小さな実をつけた木々があります。
実はこれがマカデミアの木で、ハワイの定番土産とも言われるチョコレートをコーティングしたマカデミアナッツの原料となるものです。
脂っこいのですが、実はコレステロールをまったく含まない健康食品なのです。

 ここからは、帰路リフエ空港に向かいます。
オアフ島までは30分の飛行機の旅です。
珍しいものをたくさん見て、大満足の1日でした。

 
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