世界の旅 欧州 スペイン トレド

[旅の日記]

トレド Toledo  

 スペインのトレド、町全体が世界遺産にも選ばれているところです。
「もし、1日しかスペインに居られないのなら、迷わずトレドへ行け」と言われるくらい有名な場所です。

 マドリッドからは、スペイン国鉄のRENFEの特急AVANTでわずか30分、快適な旅です。
実はこのAVANTのチケット購入は、一筋ならではいかなかったのです。
日本を発つ前にチケット予約をしようとしたのですが、インターネットの書き込みを見ているとRENFEのホームページではクレジットカードの認証で失敗するとのこと。
実際ホームページを覗いたのですが、スペイン語で表示され意味が分からなかったのです。
そこで別のヨーロッパ中の電車のチケット購入サイトで予約を試みたのですが、こちらは最終の支払い画面で「最終の処理にに失敗しました」との表示が出て購入できません。
VISAカードは悪いのかと、MASTERカードでも試したのですが、いずれのカードでも処理が通らないのです。
しかたなく再びRENFEに接続してみると、これがすんなり予約成立。
続けてPDFのeチケットが送られてきて、めでたく購入ができたのです。
ここまでは良かったのですが、数日後に先に購入に失敗したサイトから「エラーが発生しているようなのでチケットを送る」と、こちらからもeチケットがメールで送られてきたのです。
いわゆる、ダブルブッキングです。
おまけに一方的にVISAからの引き落としもされており、抗議の末に返金されたのでした。

 前置きはそれぐらいにして、ほとんど揺れないAVANTの移動は、快適そのものです。
新幹線のAVEに較べて料金は半額なのに、品質はAVEと変わりません。
おまけに車両によっては横3席のところがあり、ゆったりと座れます。
ちなみに今回は、予約にてこずりましたが無事横3席の座席を確保できました。
さて、そうこうしているうちに、終点の「トレド」駅に到着です。
ステンドグラスで飾られた駅舎は、中から見ても外から見ても綺麗な造りをしています。

 ここから直接トレドの町に入ってもいいのですが、ここは少し町全体を眺めることにします。
タクシーでホテル「パラドール・デ・トレド」まで向かいます。
ここのテラスからトレドの町が一望できるということでやってきたのですが、あいにくレストランは準備中で中に入ることができません。
いま来た道を戻り、観光バスが停車している展望台まで少し坂を下ります。
タホ川で囲まれエル・グレコが愛したトレドの全景が、ここから見ることができます。
トレドは、かつての西ゴート王国の首都であり、中世にはイスラム教・ユダヤ教・キリスト教の文化が交錯するところでした。
町を眺めて、中世の思いを巡らせます。

 さて、先ほどのホテルならタクシーを手配することもできるのですが、ここは道の途中。ここから先の足を探さなければなりません。
観光バスなら頻繁に来るのですが、路線バスなどありません。
そんな時、運転手が寝そべって休憩しているタクシーがあります。
どうせ1日観光で契約した客を乗せているのだろうと、一か八かで話せないスペイン語を操って聞いてみます。
よく見ると先程ホテルまで運んでくれたタクシーで、運転手の方もここまで来たものの帰りの客が捕まらずにふてくされていたようです。
幸運にもこれに乗って市街地まで向かうことになりました。

 町の入り口は「アルカンタラ橋」です。
タボ川を跨ぐ石橋を渡り、鍵穴のような門をくぐって町に入って行きます。
ここから先は急な階段が続き、敵の攻撃に耐え得る要塞都市の造りです。

 町に入ると、小さな広場があります。
この「ソコドベール広場」が、本日の街巡りのスタート地点です。
ここからトレドの街を散策します。
平日だというのに、世界中の観光客が広場を占拠しています。

 トレドの町は、細い路地が入り組んでいます。
建物の塀と塀の間の隙間をはうような道ですが、ヨーロッパらしく石畳の道です。
地図を見て歩いても、方角が判らなくなってしまいます。
そんななか、町のどこに居ても見えるひときわ高い建物が「カテドラル」です。
向かいのチケットセンターで入場券を買い、中に入ってみます。
「カテドラル」は、フェルナンド3世の命によって建築が進められたゴシック様式の大聖堂です。
完成は1493年で、その後の増改築が加えられ、いまの姿になっています。

 「カテドラル」の横には、市庁舎が建っています。
EUとスペイン国旗が掲げられています。
スペインを見て気付くのですが、政府の建物だけでなく一般家庭と思われるところにも国旗を揚げているのを、よく見かけます。
愛国心の強い国民なのでしょうか。

 細い路地を歩いて行くと、広場に出ます。
ここの脇のバルで、昼食をとりましょう。
スペイン料理にはこだわらずに、ピザとパスタ、そしてビールで腹を満たします。
トレドの地ビールは、癖がなく非常に飲みやすいものです。
連日の食べ過ぎでお腹が参った状態だったのですが、これは食が勧みます。
奥にあるトイレは施錠されており、必要なときに店員に暗所番号を打ってもらわなければ開けられませんでした。

 レストランの横は「サント・トメ教会」です。
この教会には、エル・グレコの描いた「オルガス伯爵の埋葬」の絵が飾られています。
学校の遠足なのか、中学生ぐらいの生徒が入場口を埋め尽くしています。
並んだ末、中に入ったものの、見学できるのは絵画の掲げられている1部屋だけです。
これだけであの値段は、ちょっと高すぎやしませんか。

 この辺りには、ナイフや甲冑などの金属製品の土産物屋が並んでいます。
そんな路地を抜けて、川の近くまで来たところに「エル・グレコ博物館」があります。
ここになかなかたどり着けずに、方々回ってやっと見つけたのでした。
中庭のあるグレコの住居跡は、改修修復されて書斎が公開されています。
またたくさんの絵画が展示されており、美術館としても開放されています。
代表作の「トレドの景観と地図」もここに納めらています。

 さて本日最大の関心事である「エル・グレコ博物館」も観終えて、もと来た「ソコドベール広場」に戻ります。
ところが、曲がりくねった細い通路を通っているうちにまたもや方向が判らなくなってしまいました。
何度も同じ道を往復した末に、「聖心イエズス会教会」に出てしまいます。
ここって、googleマップでは出てくるのに、現地の観光ガイドには掲載されていません。
スペイン語の直訳名が違っているのかもしれません。
結局、町の人に聞いて、「ソコドベール広場」に辿り着けたのでした

 その後も、「太陽の門」を探して町の北側をさまよい続けます。
門らしき場所を見付けはしたものの、後で見直してみるとどうやらガイドの写真と様子が違います。
かなり町をうろき近くまで行ったのですが、ニアミスをしてしまったみたいです。
トレドに着いたときに駅で売っていた地図を、素直に買わなかったことを後悔することしきりでした。

 エル・グレコが気に入っただけのことはあって、小さいながらも心落ち着ける町だったのでした。

 
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