[旅の日記]
パルテノン神殿 Parthenon

ギリシャのアテネ空港に降り立った私は、日本では体験したことのない何か独特の臭いを感じたのです。
お世辞でも良い香りとは言いがたく、これがギリシャの臭いかと自分を納得させて入国審査の列に並びました。
空港から先ず向かったのは、ギリシャのシンボルともいえる「アクロポリスの丘」です。
そこに姿を表す「パルテノン神殿」は、紀元前432年に造られたアテナ神を祭る神殿で、教科書に掲載されて誰もが知る建物です。
長さ68.7m、幅30.6mの周柱式神殿で、正面には8本、側面は17本の柱を有します。
パルテノスは、古代ギリシア語では、若い娘を意味します。
ローマ帝国時代にはビザンチン教会、オスマントルコ時代にはイスラム教寺院として使われてきました。
そして、現在は世界遺産にも登録されています。
それほどまで貴重な神殿ですから、さぞ厳重に保管されているかと思いきや、柵があるわけでもなく監視の目もないまま、石が無造作にそこいらに置いてあるのです。
これはラテン系民族のいい加減さなのか、とにかくおおらかな気持ちを持った民族の国であることには、間違いありません。
次に訪れたのは「フィロパポスの丘」です。
強風の中、丘を歩いて登ります。
途中、岩をくり抜いて作られた「ソクラテスの牢屋」や、紀元前4世紀のマケドニアからの攻撃に対抗するために設けられた壁の跡など、新旧の歴史を感じさせられるものが残っています。
そして、岩がむき出しの頂上からは、先ほど訪れた「アクロポリスの丘」を一望することができます。
さて風の強い屋外観光も終え、次には国立考古学博物館を訪れます。
さすがギリシャの博物館だけあって、古代からのさまざまな宝物、彫刻が所狭しと並んでいます。
とりわけ他国の博物館では見ることのできない時代の展示物に、目が釘付けになってしまいました。
我々が写真として見ていたポセイドンの裸体像などが、実際に目の前にあるのですから。
古代ギリシャに酔いしれて、1日は終わりました。
今回の旅行はちょっと張り込んでいますので、夕食はお楽しみのホテルのディナーです。
ところが!? ギリシャ人にとっては豪勢な食事なのでしょうが、どっこい日本人の私には合わないのです。
すべての料理がにオリーブオイルでギトギトしており、おまけにオリーブの実までが入っています。
そこまでは許せました。現地に入りては現地のしきたりに慣れるべしですから。
ところがスープに入っていた米粒には許すことができませんでした。とにかく臭いのです。そう、空港で最初に臭ったあの臭いです。
食後のケーキに至っては、見た目は大きくておいしそうですが、どうも妙な味です。妙としか表現ができずにすみません。
ちょっと食事には苦労しそうな予感がする、ギリシャでした。
さて翌日は、予定では地中海クルージングに行くはずです。
港までは来てみたのですが、折からの強風でクルージングは中止。
仕方なく近くで地中海の味を食した後に、ポセイドン神殿を観に行くこととしました。
昼食はは昨日と違って、飾り気の一切ないレストラン。いや食堂といったほうが適切でしょう。
丸々太ったおっちゃんが、短いシャツからおなか出しながら注文を取りに来ます。
食事も超特大のイセエビを、縦に半分に切ったものに塩、コショウで味付けて焼いただけのもの。
目の前に出されたときはちょっとためらいましたが、いざ食べてみるとこれはいける。
昨日の食事とは打って変わり、食材の味がしみ出ている絶品の味でした。
ちょっと狂ったギリシャ感を、少しばかり修正することができました。
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