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[旅の日記]

ベルリン Berlin  

 今回はベルリンを一泊かけて訪れることにします。
どうしても東ドイツの思いがするベルリンですが、今や統一ドイツの立派な首都です。
本来ドイツ帝国の首都でありながら、第2次世界大戦で東西ドイツに分裂を余儀なくされ、社会主義の東のベルリンと資本主義の西のボンが再び統合されたのは、1989年のことです。
先日のニュースで行われていたかのように、しっかりと覚えています。
その東西ドイツを分けていたのが、ベルリンの壁です。
東ドイツから西への人口流出を止められなかった当時のソビエトが、一夜にして築いたとされる壁です。
ベルリンの壁は今となってはほとんど残っておらず、ベルリンの壁資料館でその壁の一部を見ることができます。
人の逃亡を阻止する壁は、巨大なものかと考えていたのですが、思っていたよりも薄く低い壁でした。
といっても近くには銃で逃亡者を脅していたのでしょうから、そうやすやすと越えられるものではありません。
ベルリンの壁資料館では、うまく逃亡できて喜ぶ者、失敗して命を落とす者の当時の様子を写したフィルムが上映されていました。

 次に訪れたのは、ベルリンの壁と並んでベルリンの代名詞ともいえるブランデンブルグ門です。
もともとはブロイセン王国の凱旋門として造られました。
市街地の中央に位置するこの門は、東西ドイツの分裂時にはベルリンの壁に面しており、これまた閉ざされた門でした。
今はにぎやかなウンター・デン・リンデン通りに構える立派な名所となっています。

 そこからはウンター・デン・リンデン通りを東に散歩することにします。
歩いていくと、ほどなく左手にフンボルト大学、右に国立歌劇場が見えます。
フンボルト大学はマルクスやアインシュタインを生んだ学校です。
そして門の前には、名物の古本の露天商が出ています。
これから先は博物館の島と言われる博物館が集まったところです。
ペルガモン博物館を筆頭に、新旧の博物館、新旧のナショナルギャラリー、それにボーテ博物館やさまざまな建物がこの一帯にあります。
ペルガモン博物館は是非行ってみたいところのひとつだったのですが、今回は時間がないこともあって横目で見て泣く泣く通り過ぎたのでした。
そして左手にそびえる大きな建物が、ベルリン大聖堂です。
丸い天井ドームが特徴的です。
地下にはホーエンツォレルン家の墓が、展示されていました。

 ベルリン大聖堂を越えて、右手に見える公園が戸切れるところを右に曲がると、やがて市庁舎に辿り着きます。
赤の市庁舎といわれるようにレンガ色をした堂々とした建物です。
社会主義国家である東ベルリンの市庁舎だから赤の市庁舎と呼ばれていたものだと思っていたのですが。
さらに右手にはニコライ教会の2つの塔が、ビルの合間から頭を覗かせていました。

 さてその日は、食事をした後でミュージカルを見ることにしました。
インフォメーションでコンサートかオペラを探したところ適当なものがなく、ちょうどオペラ座でウエストサイド・ストーリーを上映していたのです。
ホテルにチェックインしてせき立てるように夕食を済ませて、オペラ座に向かってその日は終わりました。

 翌日は朝遅くまでゆっくり眠り、まず向かった先はシャルロッテンブルグ宮殿です。
フリードリヒ1世のお妃ゾフィー・シャルロッテの夏の別荘として使っていたところです。
コンビネーションチケットを購入して、主だった部屋をガイドなしで見ることにしました。
勇壮な正面の建物には、数多くの宝物、食器、絵画が展示されており、一通り見て回るだけでも午前中を要してしまいます。
そして建物の裏手には、これまた広大な庭園があるのでした。

 朝からシャルロッテンブルグ宮殿を見て回り疲れ果てたので、ツォーガルテン駅まで戻って食事にすることにします。
実はこのツォーガルテン駅でも寄りたいところがあったのです。
図らずも駅を出た正面に、その建物はありました。
カイザー・ヴェルヘルム教会で、空襲で屋根が吹っ飛んだ状態になった廃墟です。
独特の風貌をしたこの教会は、戦争の悲惨さを訴えるために残されていました。
食事はこの教会を窓越しに見ることのできるレストランで、ドイツビールを片手にパスタそしてアイスクリームを満喫したのでした。

 さて今回のベルリン訪問も終わりに近付き、最後に行ってみたかったのはやはりナチスドイツを物語るものでしょう。
ユダヤ人の強制収容所も郊外に足を運べばあるのですが、今回はそれほども時間に余裕がなく、ナチの地下要塞でもあった「テロのトポグラフィー」を最後に訪れることにしました。
ツォーガルテン駅から目指すは、ポツダム広場です。
200番の市内循環バス(このバスは2階建てバスなのです)に乗り、2階席から流れる車窓を眺めたのでした。
ポツダム広場のバス停から5分ほど歩いたところに、テロのトポグラフィーはあります。
ナチスドイツが行ったユダヤ人虐殺について、写真で紹介されていました。
そして壁の一部がわずかに、ここにも残されていました。

 再びツォーガルテン駅に戻ってきたときには、ドイツ国鉄の誇るICEが停まっていました。
1泊したとはいえ、大急ぎのベルリン訪問でした。

   
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