[旅の日記]
ロワールの古城巡り Loire

本日は1日かけて、中央フランスのロワール地方をバスで巡ります。
パリの市街地を飛び出し、田舎の田園風景を見ながら、バスはひたすら走り続けます。
11月のロワール地方は、いかにも寒々とした様子です。

さて古城の多いこの地方で、最初に訪れたのはシャンボール城です。
フランスらしい丸みの帯びたこの城は、有名なフランソワ1世により1518年に建造されたものです。
何を隠そう、ここが世界の城の中で私のもっとも気に入った城のひとつなのです。
ですが、時期は11月。
石造りの城の中は、風が吹き込まないといっても、寒さは純情ではありません。
靴を履き忘れたかと思うような、足元から寒さが伝わってきます。
暖かくなって改めて来てみたいところでした。

次に訪れたシュノンソー城は、歴代女性が城主であったために、別名を「6人の奥方の城」とも呼ばれています。
この城は、アンリ2世が王位に就いた記念に、愛人ディアーヌ・ド・ボッチェに贈ったとされています。
城へはポプラ並木の中を、歩いて行きます。
表から見るこの城は、右手に「マルクの塔」を備え、そして「カトリーヌ・ド・メディチの庭園」が出迎えてくれるルネサンス期の壮大でありながらも女性的な城です。
ところが、裏に廻ると風景が一転します。
川岸から臨む城は、まるで水上に浮かんでいる建物のように見えるのです。
田舎のひっそりとしたこの城には、何か惹かれるものがあるのです。
パリからロワールへのバスに揺られての工程は少々強行突破の感も否めず、昼食はホッと息のつけるものとなりました。
これまでの肉料理とは違い、野菜をベースにしたコトコト煮込んだスープを、木の枝の形をしたパンをちぎって食べるのは、やはり我々に合っているのでしょうか。
ゆったりとした気分になることがでこきました。
特に11月の寒いフランスロワール地方において、暖かいスープは願ってもいない贈り物でした。
そうそう、ここは世界有数の葡萄の産地なのです。
ワイングラスを傾けながら、田舎料理を堪能したのでした。
最後は、ロワール川に面する高台にそびえるアンポワーズ城です。
宗教戦争で数百人の新教徒が城壁から首をつられたり河に投げ込まれたりした、旧教徒による大虐殺で知られる悲劇の舞台でもあるのです。
この村で晩年を過ごしたレオナルド・ダビンチは、彼の遺志でこの城に埋葬されています。
1日かけてのロワール地方の旅も、終わりに近付きました。
賑やかなパリとは打って変わって、素朴さの残るロワールの風景には、寒空にな反して何か暖かいものを感じたのでした。
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