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[旅の日記]

コペンハーゲン København 

 北欧の中でも南に位置する国、デンマークへやってきました。
今回は、首都でありながら美しい街並みを残すコペンハーゲンを巡ってみます。
空港から電車に乗り換えコペンハーゲン中央駅に到着したのは、既に20:30を回っていました。
幸いホテルはコペンハーゲン駅近くでしたので、大急ぎでチェックインを済ませて食事に出かけます。

 目星をつけていたレストランは休み、次の候補にと考えていたところに着いた時には既に21:00で閉めるとのこと。
この辺りで適当なレストランを探さなければいけません。
折角ヨーロッパに来たのですから、まずは肉を食べたい!と入った店でステーキを注文します。
店員が勧める肉に合うビールと言うのを信じて、赤ビールを注文します。
明日からの活動に備えて、腹を満たしたのでした。

 腹も膨れてホテルに戻ると、ここで問題が発覚です。
まずテレビのリモコンが見当たりません。
フロントに問い合わせると一生懸命探してくれたのですが、テレビに合う手持ちのリモコンがなく1日待ってくれとのことです。
そしてもうひとつ問題が。ヒータが効いていません。
部屋まで見に来てくれたのですが、サーモを最大にして「これで大丈夫」と帰ろうとします。
これまで高い温度設定にしていたのに温まらないと文句を言うと、電気ヒータを持ってきてくれました。
結果的にはこの方が部屋が温もり良かったのですが、それにしても日本と事情が違うことの洗礼を受けたのでした。

 翌日は、朝からコペンハーゲン市内を散策します。
デンマーク国鉄でアスター駅 Østerporまで出て、ここから散策の開始です。
最初に訪れたのは「カステレット要塞 Kastellet」です。
函館の五稜郭を思わせるような5角の星形をしています。
海外船が往来するコペンハーゲン港の入口に、1662年に築かれたものです。
この辺り一帯は、「チャーチル公園」と呼ばれています。
これは第2次世界大戦のときに、ナチス ドイツに占領されていたデンマークですが、それを救ってくれたのがイギリスなのです。
イギリスへの感謝の気持ちを込めて、イギリスの元首相 ウインストン・チャーチルの名が付いています。
公園入口には、チャーチル像が立っています。
その先には堀に橋が架かっており、要塞内部に入ることができます。
車止めの遮断機の先には、赤く塗られた3階建ての建物が続きます。
人が居り使われているようですが、敷地内に入ってもとがめられることはありませんでした。
ただ地図によれば軍事基地のあるようなので、ここで引き返すことにします。

 「チャーチル公園」には、「英国国教会 St Alban's Church」もあります。
壁に石を張り付けた、見た目も綺麗な教会です。
その横には「ゲフィオンの噴水 Gefionspringvandet」が水を吹いており、見るだけで寒さが増します。
港に向かったとこにはかつて使われていた大砲が置かれており、要塞の様相を呈しています。
さらに歩いたところに、目的の「人魚姫の像 Den Lille Havfrue」がありました。
デンマークが生んだハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話「人魚姫」をモチーフにしたブロンズ像です。
「人魚姫」を演じたバレエに感銘を受けたカールスバーグ醸造所の創立者の息子カール・ヤコブセンは、彫刻家エドヴァルド・エリクセンに人魚姫の像の制作を依頼します。
1913年に設置され、今ではコペンハーゲンの観光名所になっています。
ただし日本で言う札幌の時計台や高知のはりまや橋のように、小さな像であるため無用な期待は禁物で「世界三大がっかり」とも言われています。

 ここから南へ向かい、次に訪れたのは「アマリエンボー宮殿 Amalienborg」です。
広場の中心には宮殿の造営者であるフレデリク5世の騎馬像があり、それを囲むように8角形をした4つの宮殿が並んでいます。
旗を見ると女王の滞在が判るのですが、あいにく本日は不在のようです。
宮殿には門兵が見回りをしています。

 「アマリエンボー宮殿」から見える、ドーム状の屋根の建物が気になります。
通りを挟んだ反対側にありますので、足を運んでみましょう。
ここは「フレデリック教会 Frederiks Kirke」です。
建築家ニコライ・アイトブによって建築が開始されましたが、1754年のアイトブの死去に伴い、フランス人建築家のジャーディンにその後の建築を託されました。
ところが高価なノルウェー産の大理石を使って建築を進めたため膨大な費用が発生し、デンマーク首相 ストルエンセによって建築は中止に追い込まれます。
工事が再開し完成したのは、1894年のことだったのです。

 さらに南へ歩いて行きます。
「ニューハウン Nyhavn」は、水辺にカラフルな建物が並ぶ一角です。
観光案内には必ずと言っても良いくらい出てくる、コペンハーゲンの代表的な場所です。
1673年にクリスチャン5世によって建設され、船乗りたちの居酒屋街として栄えたところです。
ところが物流の主流が船から鉄道へとシフトするのに伴い、時代と共に廃れていきます。
いまでは歴史地区として整備され、レストランや土産物屋が並びます。
橋には多くの南京錠が掛けられており、恋人たちの愛を約束する場ともなっています。
また童話作家ハンス・クリスチャン・アンデルセンが住んでいたでも有名な場所です。

 再び南に足を運びます。
対岸には「救世主教会 Vor Frelsers Kirke」はあります。
引っ張られるようにそちらに向かいます。
「救世主教会」はクリスチャンハウン地区に位置し、1696年に創建された教会です。
遠くから見えていた塔は高さ90mもあり、教会建設から約50年遅れて増築されたものです。
螺旋の階段が塔を上って行く様が、外形からも見て取ることができます。

 ここから「クリスチャンスボー城 Christiansborg Slot」を目指して、再び北に向かって歩いて行きます。
その前に目につく建物が「旧証券取引所 Børsen」です。
クリスチャン4世により建てられたもので、商業を意味する4匹の竜がからみ合う形に造られた尖塔が特徴的です。
1640年に完成した旧証券取引所は、世界各地の宝石や陶器などの商品を取引していました。
現在はデンマーク商工会議所の事務所となっています。

     

 さてついにやってきました。
お目当ての「クリスチャンスボー城」です。
左右対称の建物は片側が国会議事堂や最高裁判所、内閣府として使われており、見学ができるのはもう片側です。
1167年にロスキレの司教アブサロンがに城を建設します。
「クリスチャンスボー城」の地下に、遺跡が残されていることが確認されています。
その後、スラブ系民族のソルブ人海賊やハンザ同盟による攻撃をしばしば受け、1369年にハンザ同盟に城を奪われ破壊されてしまいます。
ロスキレ司教の所有物であった城を1417年にはエーリク・ア・ポンメルンがこれを奪い返し、再びデンマーク王家の所有となります。
城は何度も建替えられましたが、1730年に即位したクリスチャン6世はコペンハーゲン城を壊して新しい城の建設に掛かります。
これが今の「クリスチャンスボー城」なのです。
しかし1794年の火災で失われたため「アマリエンボー城」を居城とし、建築家ハンセンによってアンピール様式に生まれ変わった城は立法や行政機関がおかれる城となりました。
そして1907年から1928年にかけて再建された城が、今目の前にしているネオ・バロック様式の「クリスチャンスボー城」です。

 城内は靴にビニールカバーをつけて巡ります。
中に入ると、アレクサンダーの広間からはじまり豪華な部屋が続きます。
数十人が一度に介する食卓は壮大です。
そして「騎士の間」には白黒の床をもつ大広間で、壁には女王マルグレーテ2世が50歳の誕生日を記念して製作されたタペストリーが飾られています。

 豪華な城内を見学して裕福な気持ちになり、外に出ます。
先ほどから尖った屋根が気になっていたのですが、その建物に向かいます。
教会のような建物は、「ニコライ・クンストハル Nikolaj Kunsthal」です。
周りの建物に隠れた中で、塔だけが町のどこからでも眺めることができます。
どうやら展示会場のようですが、「グリーンランド自身の使徒 GRØNLANDS APOSTEL HANS EGEDE」と書かれた札が壁に埋め込まれています。

 ここでお腹がすいてきました。
ちょっと一休みしましょう。
イートインのあるパン屋で頼んだのは、デンマークでもよく食べられるサーモンを挟んだものです。
少し塩味が強いのですが、一緒に野菜が入っているところが助かります。
これに熱いコービーで冷めた身体を温めます。

 さらに先を進みましょう。
向かった先は「ラウンドタワー Rundetaarn」です。
クリスチャン4世によって1642年に天文観測所として建てられた円形の塔です。
高さ36mの屋上の展望台まで、スロープ状の通路を歩いて登ります。
1716年にはロシアのピョートル大帝も、この通路を馬で駆け上がったと言われています。
最後は狭く急な階段になり、展望台からはコペンハーゲンの町が一望できます。
また「ラウンドタワー」の建物は、教会とつながっています。
横の入口から入れるのは、「ルーテル教会 Trinitatis Kirke」です。

 この先には「ローゼンボー城 Rosenborg Slot」があります。
クリスチャン4世の夏の離宮として1606年に造られました。
今は王冠の宝石などの王室コレクションを展示する博物館となっています。

 ここからは「ストロイエ Strøget」をブラブラ歩いて行きます。
「ストロイエ」とは歩行者天国で、左右に店が並んでいます。
それを眺めながら歩くのも楽しいものです。
そのなかのひとつに「ロイヤルコペンハーゲン Royal Copenhagen」の本店があります。
中には皿やカップなどの高級そうな陶器が並んでおり、ポーチが触れないように注意して歩きます。

 その傍には「レゴストアー LEGO Store」もあります。
こちらもデンマークが誇るおもちゃのブロックで、子供のころに凝ったことを思い出します。
あらゆるものをブロックだけで表現することができ、街並みやスターウォーズが展示されています。
それらを見て回るだけでも、心が躍ります。

 さらに駅に向かって歩いて行きましょう。
広場の左手には、巨大な煉瓦造りの建物が現れます。
噴水の先のあるこの建物は「市庁舎 Københavns Rådhus」で、周りの商業ビルにも負けない大きさと迫力があります。

 「市庁舎」に前に広がる「市庁舎広場」には、「アンデルセン像 Hans Christian Andersen af Henry Luckow-Nielsen」にも出会うことができます。
「ニューハウン」でも話になったアンデルセンですは、デンマークの英雄として称えられています。
こうして首都の中心的な広場に銅像となって、人々の心の中にいまも潜んでいることでしょう。

 さて「市庁舎」とは道を挟みコペンハーゲン中央駅との間に広がるのが、「チボリ公園 Tivoli」です。
1843年に造られた遊園地で、デュアハウスバッケン、プラーター公園に次ぐ世界で3つ目の歴史をもつテーマパークです。
あのウォルト・ディズニーも、ディズニーランドを造る際に再三この場を訪れ参考にしたとされています。
ところがどの施設も同様ですが、10月に入るとあらゆるものがシーズンオフに入ります。
10月に入ったばかりで日本では秋の行楽時期ですが、ここデンマークでは朝は0度、昼でも10度そこそこの冬場の気温です。
ハロウィンとクリスマス時期を除き、いまは休園していました。
残念ですが、仕方がありません。

 そして今日の夕食は少し奮発して、デンマーク料理のレストランに行きます。
予約を入れていたので、時間に遅れないように向かいます。
サーモンやタラ、カレイなどの魚、それに牛肉と鶏肉の料理が次々と出てきます。
特にタラに粒マスタード入りのホワイトソースをかけた「コッグ・トースク Kogt Torsk」は、新鮮な魚が手に入るだけあって絶品です。 もちろん、ビールもデンマークのものです。
満足のいくコペンハーゲンの夜となりました。

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