世界の旅 アジア タイ ピマーイ

[旅の日記]

パノム・ルン神殿からピマーイ遺跡 พัมาย 

 今日はちょっと足を伸ばして、クメール遺跡の旅へと出かけます。
バンコクから500km離れたところを旅するわけですから、ほとんどが車で走り続けといった行程です。

 朝早くからバンコクを出発し、10時過ぎに着いたのはパノム・ルン神殿です。
ここは標高383mの火山の跡にそびえるクメール王国の宮殿跡です。
メール語で「大きな丘」を意味するパノム・ルンは、死火山の上に建てられたものです。
元々はヒンドゥー教の地でしたが、後には仏教のものへとの変遷を辿ります。
ここからは周りの村(といっても見渡す限りの農地ですが)が一望できる、絶好の眺めです。
クメール王国絶頂期の建物で、石をふんだんに使った風格ある建物です。
ちょうどアンコールワットと同時期のものだそうです。

 パノム・ルンを後に、次に訪れるのは車に揺られること数時間離れた場所です。
本日の移動は日本で言えば東京・大阪間を往復するようなもので、かなりの距離を走り続ける行程です。
そして次に訪れたのは、ムアン・タム神殿です。
詳しいことは記録がありませんが、10~11世紀頃の建立とされこれまたクメール時代の代表的な建物です。
ヒンドゥー教の宗教的な神殿として使用されていたと考えられています。
建物は前面に3つ、後ろに2つの計5つのレンガ造りの寺院で構成されています。
最前列の真ん中にある主塔が最も大きいのですが、現在残っているのは基礎のみです。
ここでは、エラワン象に乗るインドラ神やシヴァ神のレリーフを見ることができます。
石を組み合わせて作った建物の様子は、アユタヤー王朝時代とは違った面持ちが感じられます。
駐車場から来た分では気付かなかったのですが、反対側の低い土地からは寺院へのぼる長い石段があるのです。
せっかくですから、階段の下にも降りてみます。
そこにはナーガの石像がこちらをにらんでいたのでした。

 昼食はタイ料理のレストランで。
田舎であるイサーンに来たからには贅沢な食事は望めないと覚悟はしていましたが、さすがにつらいものがあります。
ビールだけは抵抗なく飲めるのですが、食事となると食材といい調理法といいなかなか喉を通りません。
まあタイで味わう経験だと思って、乗り切ることにしました。

 最後に訪れたのは、ナコーンラーチャシーマー県ピーマイです。
ここは国内最大規模のクメール遺跡が残る町なのです。
イサーンの平原に点在している寺院郡のひとつであるピマーイ遺跡公園です。
広大な緑豊かの公園の中に、赤茶色したピマーイ遺跡を見つけることができます。
昔はクメール帝国の首都アンコールまで道が一直線に通じていたことから、タイ東北部の小国家とクメール王朝をつなぐ宗教的な意味合いをもつ場所だったとも考えられています。
そんな特別な意味をもつピマーイ遺跡は、クメール帝国時代の遺構のなかでも特に有名です。
もちろん、どの建物もクメール様式の建築スタイルをしています。
1説によれば、このピマーイ遺跡がカンボジアのアンコールワットのモデルになったともいわれているのです。

 3大遺跡を見終え、ここからはバンコクに戻ることにします。
ところが、ここで事件が起こります。
放牧から帰る牛の群れに行く手を阻まれて、車を進めることができません。
道いっぱいに広がる牛の後ろで、この群れが道を逸れることを待つしかありません。
日本では味わうことのできない珍現象です。
そんなこんなで、車はなんとかバンコクへ辿り着いたのでした。
さすがに片道500kmの場所への日帰り旅行は、きついものがあります。
しかしまた次も懲りずに、強行日程の旅行に果敢に挑戦することでしょう。

旅の写真館(1)